チーズ屋をしている私にとって、チーズは仕事であり、日常でもある存在です。
でも、フランス人の旦那と出会ってから知ったのは、
チーズは「好きな食べ物」というより、生活のリズムそのものだということでした。
旦那の実家に初めて行ったとき、食事が終わって「ごちそうさま」の空気になったので、
私は当然デザートを待っていました。

するとテーブルに運ばれてきたのは、ケーキでも果物でもなく、
大きなチーズボード。
しかも、1種類じゃない。
白カビ、ブルー、セミハード、シェーヴルハードタイプ、ウォッシュ…。
「食後なのに、こんなに?」と思う量が、当たり前の顔をして並びます。
これがフランスでは普通。
前菜、メインのあとにチーズの時間があり、そのあとにちゃんとデザートも食べる。
チーズ屋の私ですら驚いたのは、食べ方の自然さでした。
熟成がどうとか、ペアリングがどうとかを語るわけでもなく、
ただパンをちぎって、好きなチーズを切って、会話をしながらゆっくり食べる。
旦那が特に好きなのは、モルビエとシャウルス。
やさしいミルク感のあるチーズを選ぶところが、なんだか彼らしいなと思います。
「食べ過ぎじゃない?」と聞くと、いつも同じ答え。
“C’est normal.”(普通だよ)
と言いながら、
チーズもしっかり、デザートもしっかり。
チーズ屋として知っているチーズと、
フランス人が当たり前に楽しんでいるチーズ文化は、似ているようで少し違う。
旦那の実家では、今日も食事が終わると、当たり前のようにチーズが並ぶ。